と相成りましたので、改めて告知を。
「身代わり花嫁は竜に抱かれる 満月の夜まで待って」
本日発売です!
ありがたいことに「コバルトさろん」にも載せてもらい、Webコバルトのオススメ文庫コーナーに試し読みページも作っていただきました。
これ、私が一番嬉しいです。最近の本屋さんでは商品がシュリンクされてて、内容を確かめて買えないことが多いですよね(美本提供のためにやむをえない面もありますが)。
どうせなら実物を手に取って、中身をちらっとでも見てから購入の判断をしていただければ……と作者的には思います。
というわけで、試し読みページ、どうぞご覧くださいませ。
この下は、宣伝とは関係ない話。
お芝居と小説についての好きなもの語りです。長いので畳みます。
前回の記事に書いた2つのお芝居ですが、どっちも無事に見に行くことができました。
ひとつは、演劇集団キャラメルボックスによる「夏への扉」。
もうひとつは仲間由紀恵さん主演の琉球ロマネスク「テンペスト」。
どっちも原作小説が好きで好きで好きで、あれだけのボリュームの物語をどう舞台にするんだろう、と思っていたのですが……やー、プロの仕事はすごいね! 大事なところ、おもしろいところ、取りこぼさずにぎゅぎゅっと圧縮した、とっても濃いお芝居になってました。期待以上ですごく嬉しい。
以下、原作への愛をたらたらと。
ハインラインの「夏への扉」は、SFというジャンルへの苦手意識を取り除いてくれた最初の作品でした。
コールドスリープとかタイムマシンとかアンドロイドとか、理論はわからなくてもロマンは感じる。
別にSF好きじゃなくても、猫好きなら深い共感を抱くお話だと思います。主人公がいろんな困難を乗り越えて愛猫ピートと再会するシーンには、たまらないカタルシスがあります。小気味いいリベンジストーリーとして見てもすかっとするしね。
でも先日、「『夏への扉』いいよねー」と話していたら、「時空を越えたロリコンの物語だよね」と言われて「はっ、確かに!」と思った次第。
初めて読んだのは中学生の頃だったはずなんですが、なるほど、無意識の萌えツボを刺激されていたのね(当時から歳の差カップル好きでした)。
池上永一さんの「テンペスト」は、琉球が沖縄と名前を変える直前の、壮大な女一代記。
今はもうない琉球という国が、いかに美しく教養深く誇り高かったかということが伝わる物語でした。琉球舞踏もエイサーも殺陣も、たっぷり組み込まれててお得感いっぱい。
舞台を観るにあたって、久しぶりに原作を読み返したんですが、池上さんという方は「どれだけ無茶なことをやらかすんだ、面白さ優先主義にもほどがある!」とおののくような書き方をされる。常に全力で、何もかも過剰で、目移りできないくらいに展開が早くて。
そういえば私は過去二回、ノベル大賞の最終選考に残ったことがあるんですが、結果を待つ間はたまたまどちらも池上さんの本を読んでた。
一回目は「風車祭(カジマヤー)」で、二回目はこの「テンペスト」。
結果待ちというのは当然落ち着かないわけですが、池上作品を読んでると不思議に達観することができました。
「これだけ面白い小説を書く人が地続きの日本にいる」
「物語の力ってすごい」
「たとえ何年かかっても、こういうことができる書き手になればいい」
そういう気持ちを抱かせてくれた作家さんは、もちろん他にもたくさんいますが、私が豚を好きなのは沖縄が好きだから(見て可愛い、食べて美味しい)で、沖縄を好きなのは池上作品を読んだから……なんです。
大好きな小説の舞台化はこの後も控えてて、今年は楽しい一年になりそうです。
重松清さんの「流星ワゴン」はどこかがやるだろうと思ってたけど、これもキャラメルボックスか。その組み合わせを見ただけで泣けそう。ビター×ハートフルなものになるんだろうなぁ。
竹内真さんの「カレーライフ」も舞台化しちゃうんですね。これも10年ごしで好きな話なので、よくぞ目をつけてくれた!と思います。
有川浩さんの「シアター!」を下敷きにした「もうひとつのシアター!」を見逃したのだけが悔やまれる。情報知った時にはもう終わってたんですよね……無念。
劇場通いは、するときはするし、しないときはまったくしないんですが、気になるものだけはちゃんと追いかけていきたいです。「アイーダ」と「オペラ座の怪人」も関西に帰ってくるしね。
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